バイカル汚染問題
世界一の透明度を誇るバイカル湖ですが、環境汚染が進み、今ではバイカル湖の水は、飲み水としてお勧めできないほど汚染されています。
汚染の原因は、さまざまありますが、ここでもやはり旅人による汚染が要因の一つにあります。
このまま汚染が進むと近い将来、バイカル湖の多種多様の生物が滅び、世界一の透明度を誇る氷を拝むことは出来なくなってしまいます。
大自然の絶景を守るためにも、一人一人ができることが少なからずあります。
環境保護を意識しつつ、幻想的な魅力あふれるバイカル湖の絶景を堪能したいですね。
ここでは、今日のバイカル湖が抱えている汚染問題について詳しくみていきたいと思います。
工場汚染|製紙工場
バイカル湖の沿岸には、旧ソ連が建設した巨大な製紙工場があり、この製紙工場から大量の工場排水が排出されていました。
また、紙の原料として栽培されていた森林には、殺虫剤として農薬が撒かれていました。
これらの工場排水や農薬は、適切に処理されることなくバイカル湖に流れ込み、その結果水質汚染が深刻になっています。
1987年頃、深刻な水質汚染の影響で、バイカル湖特有の生物であるバイカルアザラシが大量死してしまいました。
その後も製紙工場は、閉鎖されることなく稼働が続き、環境汚染が続いていました。
2008年になりようやく製紙工場は閉鎖されましたが、地元の反対もあり2010年には再開しました。
その後、環境汚染の深刻さを再度目の当たりにしたことで、2013年以降に製紙工場が閉鎖されました。
工場汚染|ミネラルウォーター工場
ここ数年の大きな問題の一つに、中国企業によるミネラルウォーター工場の建設プロジェクトがあります。
この工場はバイカル湖の水を瓶詰めし、ミネラルウォーターとして輸出を目的とした工場です。
2021年の稼働を目指して工場建設が進められていましたが、これに対し地元住民が反対運動を起こします。
この反対運動は、ロシア全土に広がり、複数の都市でデモ活動が起こります。結果として2019年3月に工場建設は中断されました。
一旦中断とはなったものの、今のところ中止にはなっていません。
観光汚染
次に大きな問題としてあげられるのが、観光開発による汚染です。
幻想的な風景が有名なバイカル湖へは、毎年多くの観光客が訪れます。年々バイカル湖の観光客は増加傾向となり、それに伴い観光開発が進んでいます。
インフラ等がきちんと整備されていないこともあり、各施設毎での廃棄物処理や下水処理が求められています。
しかし対策できている施設は少なく、その結果、水質汚染や藻類や植物プランクトンが増殖することによる富栄養化が進んでいます。
バイカル湖は、もともと貧栄養でした。この富栄養化が進むにつれ、バイカル湖の生態系のバランスが大きく崩れることになります。
この状況に、ロシア政府が下水処理設備のない施設を閉鎖する方針を表明しました。
しかし違法建築が後を立たず、大きな改善には至っていません。
かつては普通に飲むことができたバイカル湖の水ですが、水質汚染により、今では飲料水には適さないとされています。
写真では美しい風景が広がるバイカル湖ですが、実際はゴミで溢れ、バイカル湖にある石には緑色の藻がびっしり生えている場所も増えているのが現状です。
水位低下
さらに、拍車をかけて大きな問題があります。
それは、バイカル湖の水位低下の問題です。
バイカル湖の水位は、年々下がり続け、ここ60年で一番低い水位になっています。
これは、バイカル湖の周辺地域の工業利用や干ばつが原因とされてきましたが、近年で最も大きな要因としては、水力発電所が挙げられています。
バイカル湖の水位を低くすることで、発電量が増加するため、水力発電所はバイカル湖の水位を低くしようとしています。
拍車をかけるように、バイカル湖に流入する川では、発電用ダムの建設計画が多数あります。
バイカル湖は、もともと寒冷地で、かつ貯水量が多かったため、水温が上がりにくくなっていました。
そのため、藻などの繁殖が抑えられてきたのですが、バイカル湖の水位低下に伴い、近年では、藻などの繁殖が盛んになっています。
まとめ
いろんな要因が積み重なり、バイカル湖の環境は、どんどん悪化の一途を辿っています。
このままでは、本当にこの美しい幻想的な風景が見れなくなる日も近いのではないでしょうか。
私たちが出来ることは限られていますが、少なくとも観光で訪れた際は、この美しい風景を守っていくためにも、環境に配慮した行動を取りたいですね。
世界一がいっぱい!ロシアのバイカル湖の魅力
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